2013年1月13日日曜日

セラピストによる教示やフィードバックは学習に有効か?

林 節也(岡崎共立病院)

題名「セラピストによる教示やフィードバックは学習に有効か?」
谷 浩明 理学療法学21.69-73.2006

患者に学習という観点から臨床を展開していくなかで、セラピストの言語が非常に重要であることに気づく。自分が参加した日本認知運動療法研究会第3回マスターコースでもセラピストの言語の重要性についての講義があった。患者の記述(内部観察)をキャッチすることも重要であるが、そこに関わるセラピストの言語(教示やフィードバック)が患者の学習には重要な道具の一つだと思う。

今回、この文献に出会い、患者に対するセラピストの声掛けや教示、フィードバック等の考え方の足りなさを再認識し、臨床を振り返ることができたと思う。文献では「教示の与える時期や量によっては学習を阻害する」と述べられている。確かに与える情報量が多かったり難易度が設定されていなければ、患者にとっての最近接領域ではなく学習を阻害していくのだと思う。

また、「外在的フィードバックが多いと内在的フィードバックが減少し学習を阻害する」とも述べられている。ただ単にフィードバックを与えるのではなく、外部から人工的に与えられる外在的フィードバックと視覚、固有受容感覚などの内在的フィードバックをうまく使い分けなければいけない。

セラピストとして関わっていく中で、教示やフィードバックの与える影響を再確認し、プラス面だけでなくマイナス面として作用すること。安易な一言が学習の阻害因子となることを常に考えながら臨床に臨まなければいけないと思った文献でした。