2011年6月18日土曜日

運動の学習における「わかる」と表象

林 節也(岡崎共立病院)

題名:「運動の学習における「わかる」と表象」
文献名:「運動の学習における「わかる」と表象」
筆者:田中雅人
機関名:愛媛大学教育学部保健体育紀要vol.2 1998

 臨床場面の患者さんからの一言。「ここに力を入れなければいけないことはわかるけど動かない。どうしたらいいかわからない。」このように「わかる」けど「できない」ことに遭遇することがある。また、身体のどこに、どれだけの力を入れればいいかがわからず、力いっぱい筋出力してしまい、代償動作が生じてしまうケースも少なくないように思える。

 この文献には「わかる」とは何か。「できる」とは何か。運動表象が「わかる」ことにどのように関連しているのか。と言うことが詳しく記載されてる。

 学習者が「わかる」ためには、運動開始前に提示される情報など言語による教示や示範。運動中に得られる感触や運動感覚。運動終了後に得られる運動記憶の想起。これらが関与し、身体外部からの情報と身体内部からの情報を基に「わかる」ための方略が生まれてくると記載されている。

 さらに、学習者が運動を「わかる」ために求められる能力のひとつに運動観察能力がある。運動観察は、運動中に自己の運動を運動覚と言語によって把握し、運動経過のどこが良くてどこが悪かったのかを思考し、分析する自己観察と他人の運動を見たり、運動後に自分の運動をビデオなどで観察する他者観察とがあり、目標とする運動の表象を示範やビデオを他者観察することによって明確にとらえ、さらに自分の行った運動の経過を自己観察し、両者の違いを比較することによってそのギャップを埋めていくことが運動の学習であると筆者は述べている。
 
 運動学習を様々な理論で説明している文献は多々ある。この文献は運動学習を促すための方略が記載してあるため、是非一読していただきたい文献です。

2011年6月2日木曜日

スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則

首藤 康聡(岡崎南病院)

『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則 』
カーマイン・ガロ (著), 外村仁 解説 (その他), 井口耕二 (翻訳)

みんなスティーブ・ジョブズの名前は知ってる?きっと一度は耳にした事があると思うんだけど、知らないっていう人は、iPhoneやiPadならどう?これなら聞いたことあるでしょ!彼はこれを開発したAplle社のCEOなんだ。彼のプレゼンテーションは世界一とも言われてるんだけど、なぜ魅力的で人々を惹きつけるプレゼンができるのかを解説したのがこの本。中にはプレゼンに大切な18の法則が書かれてあるんだ。

これを参考にして愛知県の勉強会で講義をしたんだけど、参加した先生たちはどうだったかな?また、コメントをしてくれれば嬉しいんだけど、かなり今回は自分のプレゼンを意識してみたんだ。立ち位置や、視線、問いかけの仕方などなど・・・すごく疲れたんだけどね。でも、僕なりの手ごたえはあったと思ってる。それはあの午後の眠い時間帯に誰一人として眠らなかったから!!!緊張感を持ちつつ、みんなとの距離も離れすぎず、飽きない空間を作れたかなって思ってるんだけど、自己満足かな?でも、これが出来たのもこの本のおかげなんだ。すごく、インタラクティブな関係も作れたしね(ただこれは他の本も参考にしたんだけどね)。

そもそもなんで僕がプレゼンの本を読んだのか?講義をするって決まってから読んだわけじゃないんだ。講義が決まる前にはもう何冊かプレゼンの本は読んでたんだけど、プレゼンって相手がいる事が絶対条件だよね。プレゼンの方法で観客が受ける商品の印象はだいぶ違うし、そのあとの売上なんかにもかなり影響してくるらしいんだ。つまり、説明次第で相手の印象がかなり違ってくるってこと。結局、聴衆はプレゼンターに影響されるってことなんだ。

じゃあ、これを臨床に置き換えてみてね。プレゼンターと観客の関係は、セラピストと患者の関係に似てるよ。患者さんにとってセラピストは外部環境だよね。外部環境との相互作用で運動が決定されていくのであれば、セラピストの振る舞い方は患者さんにかなり影響を与えてくる事になる。じゃあみんなは自分の振る舞い方って気にしてる?そもそもどんなところを気にすればいいんだろうね。わかんないやって人、今のままじゃいけないかもって感じたらこの本を読んでみて。きっと自分の臨床を助けてくれるから。