2012年8月15日水曜日

NHK スペシャル 『MIRACLE BODY』

首藤 康聡(岡崎南病院)

NHK スペシャル 『MIRACLE BODY』
http://www.nhk.or.jp/special/miraclebody/

17日間にも及ぶ暑い熱戦が繰り広げられた、オリンピックも終わりましたね。眠れない日々が続いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?日本代表は史上最多の38 個のメダルを獲得しました。今回紹介するのはその中でも、個人総合金メダルを含む合計3個のメダルを獲得した体操日本代表の「内村航平」選手の強さに迫った番組です。

番組の中では視覚や空中感覚と言われる能力に内村選手が優れていることが様々な実験で解き明かされて行きました。その中でも僕が気になったのは「運動イメージ」です。全国大会に出場する選手と内村選手の運動イメージ中の脳活動をfMRIで比較したところ、ある選手は視覚野が、内村選手は高次運動野の血流量の増加を認めました。これは前者が「三人称イメージ」で後者は「一人称イメージ」であると番組では解説されていました。また、「頭の中に小さな自分がいて、体をどう動かせばいいのか教えてくれる」と内村選手はインタビューに答えています。

この一人称イメージに内村選手が目覚めたのは14歳の頃だそうです。ビデオである選手の「トカレフ」という技を何度も何度も繰り返し見ていると、ふと自分の体がまるでトカレフを決めているかのような感覚に襲われたそうです。実際にそのあと、トカレフを練習してみるとすぐにできたそうです。当時、一流の選手がこぞって練習し極めようとしたトカレフをわずか14歳の少年が決めてしまったのです。

いかがでしょうか?内村選手の強さが少しはお分かりいただけたでしょうか?やはり、一人称イメージは運動学習に非常に有効な手段であるように思えます。そのイメージを僕らは臨床で考えて訓練に取り入れています。だけど、どうでしょうか?その効果をすぐに求めていませんか?確かに一人称イメージは有効です。しかし、内村選手でさえ一人称イメージができるようになるまでに、相当な努力を要しています。運動イメージができるできないではなく、いかに運動イメージができるように訓練を展開して行くのかそれを考えるとともに、焦らずゆっくりと訓練を展開して見ませんか?

この番組は今にところ再放送は予定されていないようですが、もしあるようなら一度見てみて下さい。他にも臨床を考えるヒントが沢山ありますから。

2012年8月1日水曜日

脳は直感している―直感を鍛える7つの方法

佐藤 郁江(岡崎南病院)

脳は直感している―直感を鍛える7つの方法
佐々木省吾 祥伝社 2007

題目が気になって古本屋で手に取った本です。直感自体は存在しているものの当たるか当たらないかは人それぞれであると感じています。今まで直感はなんだか気になっていた部分で自分の中でも以前の臨床のヒントの中でも関係することを書いているように思います。気になったところとして最後の章(直感を鍛える7つの方法)で書かれている1つ目の「自分の五感を使って「知覚」することを、もっと心がける」です。これは直感するために「現在の状況」を把握する必要があるからです。直感は初めの章に書かれているのですが知識や経験を加味した、総合的な判断と書かれておりどのような経験をしてきたかによって左右されるものであるといえます。患者さんにも何を経験してもらいどのようなことを知ってもらうかは考えていく必要があると思われます。

本書の中に一つ緊張感と活動パフォーマンスの関係につて書かれていた部分があります。これはヤーキーズらが緊張感と活動パフォーマンスの間に逆U字の関係があることです。そしてやさしい問題ほど高い緊張感(覚醒水準)が求められ、難しい問題であるほうがある程度のリラックスでの取り組む方が良いと研究しているそうです。この研究があるので私たちは患者さんにとっては少し難しいと感じる課題を与えていることが多いと思います。緊張度を少し考えながら行っていく必要もあると感じます。