2013年11月17日日曜日

熱発してみて

首藤 康聡(岡崎南病院)

先日、40℃近く熱を出してしまい、数日間苦しんでしまいました。幸いインフルエンザではなかったのですが、流石にこれだけの高熱だと身体にも異変がでてきます。

夜間の事です。あまりに苦しかったのですが、その時の僕の手は痺れ、まるでグローブのように大きく腫れている感じになっていました。つまり僕の身体イメージが変質していたのです。「あ〜風邪でも身体イメージは改変してしまうんだな」なんて考えていたんです。これが発熱の問題なのかどうかわかりませんし、風邪によって何らかの理由で体性感覚情報の問題が生じたかもしれません。ただこの事は臨床家としてすごく大切な事に気がつかせてもらえたような気がしてなりませんでした。

それは身体イメージの変質が体性感覚情報の問題以外で起こる可能性があるという事です。我々は身体イメージの変質が体性感覚情報の問題で起こる事は知っています。しかし、知っているがために理由がそれであると決めつけてしまいがちです。いやそれしかないと決めつけてしまいます。そのため臨床ではそのための介入方略しか提供していませんし、結果が出てこない事があることを経験します。それは我々が自分の知っている内容で問題を評価し、解決しようとした結果です。またもし問題が解決できない場合その原因を自分以外のところへ持って行こうとします。それでは問題解決にはなりません。

知る事で盲目になることもあれば、知らないがために盲目にもなりやすい。なんだかポパーの反証可能性につながりそうだなと、そんな事を思う真夜中でした。

2013年11月2日土曜日

方向転換動作・着座動作

佐藤 郁江(岡崎南病院)

歩行関連動作のバイオメカニクス-方向転換動作・着座動作/櫻井好美等著
PTジャーナル第47巻第6号2013年6月

理学療法士である私は、歩行という視点は常に持っている。しかし、歩行をするためにはそれに関連する動作が存在している。当たり前のこととしているがこの動作が重心移動の観点からも難しいことが多い。ここで述べられているのは方向転換動作と着座動作である。実際に動作として行うことが多いのは歩行よりも先に移乗動作が多くこの方向転換動作、着座動作は重要になってくる。ここでも書かれているが体幹、下肢、(上肢:着座動作において)書かれている。私は前回の勉強会のコーディネータで立ち上がり動作のシステムについての検討を行った。立ち上がりにおいても体幹、下肢、上肢と関わってくる部分が多くなっている。わたしの中で立ち上がり動作は歩行を行うために必要な動作の一つである。それと同様に着座動作も歩行を行うために必要な動作である。そこで着目していくと文献の中で「着座時動作時では重心を下方、後方に移動させる。このとき下方移動と後方移動が同時に起こると、重心は動作の初期から支持基底面から外れてしまい、後方へ回転し尻もちをついてしまう。そのため健常人では体幹前傾と下肢の屈曲が開始される前に足関節を軸として身体をわずかに前方に回転さている」と書かれている。この足部背屈時の前方へのわずかな重心移動が着座時の転倒を避けるための一つの方法であると考えられる。いわゆる、ドスンと座る時の一つの制御すべき点であると考えることができる。最後に「本稿では運動学・運動力学的視点でのポイントを取り上げたが、運動学メカニズムとそれを制御する神経学的メカニズムを熟知し、患者の運動能力の問題点とその原因を理解したうえで理学療法を提供する必要がある」と書かれている。そのためこれだけでは足りないのだが、この視点もとても重要な視点になってくるため、もう一度考え直すきっかけとなったものであり、皆さんのご意見も聞かせていただけるとありがたいです。