2015年4月16日木曜日

仮説の立てるための知識について(2)

若月 勇輝(西尾病院)

前回の私の臨床のヒントの続きを述べたいと思う。前回の内容は仮説を立てるための知識の重要性とその知識収集方法について記載した。
その収集方法は、
・ある分野の権威の論文を読む
・権威が使用している参考文献を読む
・頻繁に用いられる論文を読む
・レベルの高いであろう学会誌の論文を読む
・レベルの高いであろう学会誌の査読者の論文を読む
である。この方法には問題点がある。それは、論文の執筆者、学会誌に依存した方法であるということである。つまり上記以外の方法で収集した情報は知識とならないことを意味している。

しかしながら、知識の収集方法は上記の他にも存在する。それを下記に示す。
・権威以外が書いた論文
・自分がレベルの高いと思う以外の学会誌
・書籍(教科書や文庫など)
・臨床家自身の経験やアイデア
・他のセラピストとのディスカッションから得た知識
である。これらから知識を収集する際には注意しなければならない点がいくつかと思われる。その知識が確からしいかどうか判断する必要があるからである。

論文を読む際には、実験方法が適切かどうか、分析(統計的な分析も含める)が適切かどうか、結果から適切に自分が解釈できるかが重要となる。

教科書や文庫では、どのような経歴の人の意見か、著者はどのような研究をしているのか、現在どのような活動をしているのか(学会の所属や勤務先)、引用している論文が適切かどうか、著者の意見が飛躍しすぎていないか。

臨床家自身のアイデアと他のセラピストとのディスカッションから得た知識は、臨床で適切な方法で適切な分析から検証したのかを判断する能力が必要となる。
結果として、これらの方法に共通する点は、知識を得る者が、適切な方法で適切な分析から検証できる能力が必要になるということである。

この能力を定着させていくためには、自分で研究的な営みをすることが重要と考える。よって、学会への投稿や論文を書くことによって、査読者による批判を受ける必要があると思われる。

私はまだまだ学会レベルであり、論文を書いたこともない。自分の仮説を立てるための知識の収集方法を磨く必要性があり、今後も研究活動を継続していきたいと思っている。それによって、レベルの高い知識を得ることになり、より洗練された仮説を生み出せるようになるのではないかと考えている。