2013年6月16日日曜日

日常にある臨床のヒント

首藤 康聡(岡崎南病院)

先日、子どもの授業参観に行き、その後にPTAが主催する教育講演を聞いてきました。内容は親業についてでした。もし、ご興味があれば以下のサイトを覗いて見てください。(https://sites.google.com/site/fureaicom/)

僕はこの講演を聞きながら、ミラーニューロンや心の理論、間主観性などを思い起こしていたんですが、当然PTA会員に向けた一般的な話なので、このようなキーワードは出てくる事はありませんし、そこを意識した講演をされたかどうかはわかりません。ただ僕には少なくとも今までの知識を確認する事が出来たのは事実ですし、これまで学んだ知識が普段の生活の中でこのように使われているんだなと確認し、そして講演で学んだ事を自宅で実践し結果を残す事が出来ました。細かい内容はプライベートなので話せませんがこれって認知神経リハビリテーションの考え方に似てるなって思いませんか?

僕は講義(=訓練)を通して日常(=行為)との比較を行いながら学習して行くことが出来たのでまさに行為間比較の考え方ではないでしょうか?

さてここで僕が言いたいことは行為間比較の考え方がこんな場面にも潜んでいたということです。臨床のヒントはいつでもどこでにでも転がっていると思います。それを見つけて行くことがまた自分の臨床の幅を広げていくのではないでしょうか?いかがですか?皆さんは日常の中にどのような臨床のヒントを見つけていますか?

2013年6月1日土曜日

「ゆる」身体・脳革命

佐藤 郁江(岡崎南病院)

「ゆる」身体・脳革命(講談社+α新書)  高岡英夫著

身体と脳という文字に惹かれて古本屋で手に取った本です。作者の高岡先生は現在運動科学総合研究所の所長をしておいでで何かヒントになるかと読み進めていった本です。この本の中での説明で「筋肉が長いタイプは身体が柔軟だけれども反応が遅い。反対に骨が長くて筋肉が短いタイプは、反応は鋭いけれども筋肉の疲れが抜けにくく、筋肉自体、そして骨や関節を痛めやすいものです」と述べられていました。つまり、患者さんとしてやってくる人は筋肉が短いタイプの人がさらに短くなっているということが多いのではと考えられることです。私は筋がさらに短くなっているということは筋収縮が起こっているのではと考えました。

筋収縮においての筋小胞体からCaイオンが筋細胞内に遊離され、収縮の化学反応がフィラメント間に生じています。そして再び筋小胞体にCaイオンが取り込まれることにより弛緩します。エネルギー源としてATPが関与しています。しかしATP分解による化学エネルギーがどのように機械エネルギーに転換されて収縮が起こるかはよくわかっていません。しかし、収縮時にエネルギーが必要とされていると考える方が妥当だと思います。

そうすると短い状態の人は収縮が常に行われていると考えると疲れが抜けにくい。また作用筋と拮抗筋と共に短い状態になっているということは関節の圧を高めるような作用が働いていると思いました。

そして拮抗筋が短くなっている(収縮している)のであれば、作用に必要な筋にもさらに負担がかかる状態にあると考えられます。

そして本の中ではゆるめると表現をしているのですがそのために必要なこととして「むやみにゆするのではなく、一つ一つの骨の位置や隣の骨との関係を正確に意識しながらゆらしてやることが大切です」と書かれています。身体意識に対しても研究されているようで今後も興味深いことがありました。

筋収縮の方に意識が向きがちなのですが拮抗筋に対しては弛緩することの大切さを改めて考えさせられた本です。もちろん筋出力がなくなってしまう状態は動けないのですが、リラックスできる状態は改めて大切だと感じさせられました。