佐藤 郁江(岡崎南病院)
「ゆる」身体・脳革命(講談社+α新書) 高岡英夫著
身体と脳という文字に惹かれて古本屋で手に取った本です。作者の高岡先生は現在運動科学総合研究所の所長をしておいでで何かヒントになるかと読み進めていった本です。この本の中での説明で「筋肉が長いタイプは身体が柔軟だけれども反応が遅い。反対に骨が長くて筋肉が短いタイプは、反応は鋭いけれども筋肉の疲れが抜けにくく、筋肉自体、そして骨や関節を痛めやすいものです」と述べられていました。つまり、患者さんとしてやってくる人は筋肉が短いタイプの人がさらに短くなっているということが多いのではと考えられることです。私は筋がさらに短くなっているということは筋収縮が起こっているのではと考えました。
筋収縮においての筋小胞体からCaイオンが筋細胞内に遊離され、収縮の化学反応がフィラメント間に生じています。そして再び筋小胞体にCaイオンが取り込まれることにより弛緩します。エネルギー源としてATPが関与しています。しかしATP分解による化学エネルギーがどのように機械エネルギーに転換されて収縮が起こるかはよくわかっていません。しかし、収縮時にエネルギーが必要とされていると考える方が妥当だと思います。
そうすると短い状態の人は収縮が常に行われていると考えると疲れが抜けにくい。また作用筋と拮抗筋と共に短い状態になっているということは関節の圧を高めるような作用が働いていると思いました。
そして拮抗筋が短くなっている(収縮している)のであれば、作用に必要な筋にもさらに負担がかかる状態にあると考えられます。
そして本の中ではゆるめると表現をしているのですがそのために必要なこととして「むやみにゆするのではなく、一つ一つの骨の位置や隣の骨との関係を正確に意識しながらゆらしてやることが大切です」と書かれています。身体意識に対しても研究されているようで今後も興味深いことがありました。
筋収縮の方に意識が向きがちなのですが拮抗筋に対しては弛緩することの大切さを改めて考えさせられた本です。もちろん筋出力がなくなってしまう状態は動けないのですが、リラックスできる状態は改めて大切だと感じさせられました。
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