2012年9月15日土曜日

あなたの患者になりたい

林 節也(岡崎共立病院)

題名「あなたの患者になりたい‐患者の視点で語る医療コミュニケーション‐」
佐伯晴子.医学書院.2003.

僕たちの仕事は、病気やけがなどで社会生活に支障を来たしてしまった患者に対して、様々な視点で関わる必要がある仕事だと思っています。そのためには、身体機能面や精神機能面、生活背景などといった患者を知ることで治療が円滑に進んでいくのだと思います。

患者とのコミュニケーションを図ることは僕たちの仕事ではとても大切なことです。それは、セラピスト皆が分かっている事であると思うし、意識していることだと思います。また、コミュニケーションを図る事で、患者との信頼関係を構築する事となり、心の許せる存在となり、それが内声を確認する事が出来るようにもなってくると思います。

文中では、医療従事者と患者との関係性についてどうあるべきかが書かれています。是非一読して頂ければ良いかと思いますが、私たち医療従事者にとっては病院が職場であるためごく当たり前の環境となっているが、患者にとっては特別な世界である事。不安だらけの生活において通じない専門用語。問診ではなかなか病状を説明出来ない事への不安など、患者の心の想いが多々書かれています。また、それを解決するために必要である事の一つにとして、医療従事者の表情や清潔さ、態度といったコミュニケーションを図り、信頼関係を築きあげることだと述べられています。

僕たちは患者さんを内部観察の視点からも関わっていきます。しかし、接触情報や身体の位置関係を「患者がどう認識しているのか・注意しているのか」といった評価の部分を観察していく前提には、患者との信頼関が構築されていなければ、患者も正直には意識経験を語る事が出来ず、治療に影響を与えてしまうのではないでしょうか?日常の何気ない振る舞いから患者との信頼関係を構築していかなければいけない。今一度患者との関係を改めようと思うきっかけとなった一冊です。

2012年9月1日土曜日

所さんの目がテン

進藤 隆治(国府病院)

所さんの目がテン(2012年8月12日:中京テレビにて放送)
テーマ:誰でも絵が上手に(秘)技

日曜日の朝といえば一昔から愛され続けている番組がある。それは「所さんの目がテン」だと言う人は私はきっと多いと思う。(関東の方では土曜日放送らしい)

「所さんの目がテン」は日本テレビ系列にて1989年から放送されている長寿番組で、科学・自由研究を中心とした生活情報番組である。少しためになる(?)情報を面白可笑しく伝えてくれるこの番組は見はじめると忙しくてもついつい最後まで見てしまう。

さて、今回のテーマは「誰でも絵が上手に(秘)技」ということであったが、番組では絵心がある人・ない人は何が違うのかを脳画像を使って説明していた。それによると絵心がある人は明らかに右脳の賦活が認められ、絵心がない人は左脳だけが賦活しているとのことだった。専門家の話しでは「論理的な思考をする左脳が、感覚的な思考をする右脳より働いてしまう」とのこと。左脳はイメージをシンボル化してしまうので、抽象的になり絵が幼稚になるそうだ。絵心がある美大生は右脳がかなり賦活しており、形やサイズといった特徴を具体的に捉えることができていた。

これをみて、左右間の脳の賦活のバランスは重要だと改めて思った。健常者でもこれだけ左右の賦活に偏りがみられるなら、片側に病巣があるCVA患者さんはさらに偏りが著明になることは想像できる。今日では左右半球は脳梁を通じて連絡を取り合って協調・監視を行っていることがわかっており、また半球間抑制といった左右半球のメカニズムも明らかにされている。脳をシステムと捉えるならば左右半球の役割はしっかりと押さえておきたいとこである。

話しは番組に戻り、風景画を上手く描くのに簡単な方法を紹介していた。それは逆さまから見て描くというものだった。逆さにすることにより右脳スイッチが入るとのこと。ただ逆さまに見て描いただけなのに明らかに上手い絵が描けていた。

これについてはもちろんリハビリでは単純に当てはまらないが、神経生理学的な視点や脳の機能を知ることは、より患者さんに適確な課題や言語介助を行っていく上で強い武器になると思う。

最後にそんなことで絵が上手くかけるのかと思った人はぜひ一度、試しに逆立ちをしてみてほしい。右脳スイッチを入り何かしら新しい自分がみつかるかもしれない(笑)