2012年9月1日土曜日

所さんの目がテン

進藤 隆治(国府病院)

所さんの目がテン(2012年8月12日:中京テレビにて放送)
テーマ:誰でも絵が上手に(秘)技

日曜日の朝といえば一昔から愛され続けている番組がある。それは「所さんの目がテン」だと言う人は私はきっと多いと思う。(関東の方では土曜日放送らしい)

「所さんの目がテン」は日本テレビ系列にて1989年から放送されている長寿番組で、科学・自由研究を中心とした生活情報番組である。少しためになる(?)情報を面白可笑しく伝えてくれるこの番組は見はじめると忙しくてもついつい最後まで見てしまう。

さて、今回のテーマは「誰でも絵が上手に(秘)技」ということであったが、番組では絵心がある人・ない人は何が違うのかを脳画像を使って説明していた。それによると絵心がある人は明らかに右脳の賦活が認められ、絵心がない人は左脳だけが賦活しているとのことだった。専門家の話しでは「論理的な思考をする左脳が、感覚的な思考をする右脳より働いてしまう」とのこと。左脳はイメージをシンボル化してしまうので、抽象的になり絵が幼稚になるそうだ。絵心がある美大生は右脳がかなり賦活しており、形やサイズといった特徴を具体的に捉えることができていた。

これをみて、左右間の脳の賦活のバランスは重要だと改めて思った。健常者でもこれだけ左右の賦活に偏りがみられるなら、片側に病巣があるCVA患者さんはさらに偏りが著明になることは想像できる。今日では左右半球は脳梁を通じて連絡を取り合って協調・監視を行っていることがわかっており、また半球間抑制といった左右半球のメカニズムも明らかにされている。脳をシステムと捉えるならば左右半球の役割はしっかりと押さえておきたいとこである。

話しは番組に戻り、風景画を上手く描くのに簡単な方法を紹介していた。それは逆さまから見て描くというものだった。逆さにすることにより右脳スイッチが入るとのこと。ただ逆さまに見て描いただけなのに明らかに上手い絵が描けていた。

これについてはもちろんリハビリでは単純に当てはまらないが、神経生理学的な視点や脳の機能を知ることは、より患者さんに適確な課題や言語介助を行っていく上で強い武器になると思う。

最後にそんなことで絵が上手くかけるのかと思った人はぜひ一度、試しに逆立ちをしてみてほしい。右脳スイッチを入り何かしら新しい自分がみつかるかもしれない(笑)

1 件のコメント:

首藤康聡 さんのコメント...

目がテンは子供の頃からよく見てて、面白い番組ですよね。
少し前には錯覚の特集で色々と臨床のヒントが見つかりました。
ただ、個人的にはこのような番組を鵜呑みしないように気をつけないといけないかなと思っています。進藤先生が言うように単純に当てはまらないですしね。

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