2016年6月17日金曜日

思い出すこと

佐藤 郁江(岡崎南病院)

記憶力の正体(ちくま新書、高橋正延著)の中に思い出す練習の重要性という項目がありました。集中反復に比べ分散反復がより記憶に効果的であると書かれております。「有力な考え方によれば、集中反復ではそのままオウム返しに反復するだけでよいのに対して、分散反復の場合は、時間の経過のために、反復する内容の記憶が薄れているのでそれを思い出したうえで反復しなければなりません。つまり、集中反復は忘却が起こらないので反復内容を思い出す必要がないのに対して、分散反復では忘却が起こり始めているため、それを思い出す操作が必要になってくるわけです」とありました。

運動に対してではないのですが、動作の過去の記憶を思い出すことはその記憶を強化するために必要であるのではと考えることもできます。

ここでは忘却という視点もありました。忘却をすることで思い出す、思い返すといったことが起こっています。

運動において思い出す、思い返すといたことが、運動の再現の繰り返しなのかと言ったらそうではないと思います。

2016年6月1日水曜日

診療報酬改正後のリハ現場

尾﨑 正典(尾張温泉かにえ病院)

2016年度は診療報酬改定があり、回復期リハ病棟入院料にアウトカム評価が導入され、リハビリの効果がFIMの利得、在院日数が大きく関わり、維持期のリハビリに関しても、介護保険を利用したサービスに積極的に移行するようなルールとなりました。診療報酬改定のルールの中でどのように運営をしていこうかと試行錯誤されていると思います。

退棟時のFIM得点(運動項目)から入院時のFIM得点(運動項目)を引いた利得の獲得が回復期リハの重要なポイントとなり、日常生活動作の出来ることの獲得が重要視され、収益に大きく関わってきます。

認知神経リハビリテーションを学習され臨床展開されている方は誰もが感じたり、他のセラピストから「時間がかかる」「効果が目に見えてすぐには出ない」「そんなことより動作の獲得の練習を」「今の身体能力で出来ることを増やすように」「代償動作をだしても、それを使って生活できればよい」などとよく言われます。
 
今回の改正はさらに、厳しい環境になると予測されます。しかし、国の方針は方針として、その中でどのようにして、認知神経リハビリテーションの理論に基づいた治療を展開していくのかを考えて日々治療していかなければ、認知神経リハビリテーションの治療自体が出来ない環境になってしまう危険性があります。患者の真の願いに答える治療を行えなくなると、最終的には患者の不利益になってしまいます。限られた時間で、治療効果をだす必要性がさらに、問われることになっています。
 
認知神経リハビリテーションを学習し臨床展開されている様々な職場環境のセラピストがいます。一人職場で日々患者と向かい合っているセラピスト、分からないことだらけで悩み続けているセラピスト、様々な思いで、悩み続けているセラピストの皆さんが日本全国にいらっしゃると思います。
 
今年は7月2日~3日に福岡で学術集会が開催されます。そこには日本全国から集まり、議論し、学び、反省し、明日の臨床に繋げようとする認知神経リハビリテーションを学ぶセラピストが集まります。現在、臨床で困っていること、壁にぶつかっていることなど福岡の地で皆さんと色々な議題を話すことができます。

ぜひ福岡の地で、皆さんと患者の真の願いに答えられるように、共に学習していければと思います。