2014年4月17日木曜日

「分かりやすい教え方」の技術

佐藤 郁江(岡崎南病院)

「分かりやすい教え方」の技術
藤沢 晃治著 講談社

私たちセラピストは患者さんに動作を行ってもらうために教えるという作業を行っていることがあると思います。この「分かりやすい教え方」の技術の中に「教える」のポイントとして5つ挙げられております。
「教える」とはサービスすること。
「教える」とは説明すること。
「教える」とは観察すること。
「教える」とは分解すること。
「教える」とは誘導すること。

ここでいう「観察」とはよりよく教えるための情報を収集することです。と書かれております。患者においても当たり前に行っていることだと思われます。その人に問題点が生じているから教える必要があるわけで何を教えていったらよいのか、またどんなところでわからなくなっているのかで教え方を変化させることが必要になってきます。

そして分解するとは一つの大会ハードルを複数の低いハードルにしてあげるという考えです。だから患者さんにも何を教えるべきなのかを考えたかとにその人に必要なことを分けて教えることも必要になってきます。

また、ここでいう誘導は希望する地点まで送り届けてあげる行為です。と書かれております。これはガイド役となるため導くと考える方が患者さんにとっても必要なことだと思われます。

教えることはサービスであるとあります。ガイド役という意味でもだと思われますが、目標に向かっていくということは、この目標は患者さん自身がやりたいことであることを考えれば当たり前のことに思われます。自分が知ってもらいたいことの押し付けではなく患者さん自身が分かり身に着けることを考えるとサービスというお客様といった考え方も必要になってくると思いました。もう一度私の中で忘れてはいけない原点の一つだと思いました。

2014年4月3日木曜日

LEADERS

尾﨑 正典(尾張温泉リハビリかにえ病院)

先日、トヨタ自動車創業者 豊田喜一郎氏をモデルとした「LEADERS」というドラマを見ました。佐藤浩市が演ずる社長である佐一郎(喜一郎)が労働争議の中で、社員に会社存続のため、また日本国の将来のために1600人の希望退職者を募るという話をする場面がありました。佐一郎は「私は断腸の思いで本社従業員1600名の希望退職者を募ることにした。私は常々社員は家族だと言ってきました。その家族に出て行ってくれと言うことは会社を潰すことよりも辛い。たった一つの部品が欠けるだけで、自動車が完成しないのと同じように、たった一人の社員が欠けてしまえば、それはもう、私の会社ではない。」という発言がありました。社長という一人の人間に共感し、従業員(家族)が「社長と共に働きたい」「ついていきたい」という気持ちのなかで仕事を行っていることに感銘を受けると同時にリーダーシップのあり方を学びました。また、この発言を聞いている中で「創発特性」のことがふと思い浮かんできました。あらゆる一つ一つの部品が関係を持つことで自動車を動かすことができる。一つの部品が欠けるだけで自動車は動くことができない、完成しないという事実。そして、人間も骨、筋、腱、皮膚などの個々の関係性が行為を創発する。「創発特性」は認知神経リハビリテーションを学んでいくなかで必ず学習していきます。

「創発特性」とは、システムを形成している個々の要素のレベルでは持っていない性質がシステム全体として振る舞う際に発現されることです。よく例として「時計」があげられますが、時計は一個一個の部品が関係性を作り、全く異なっている「時」というものを生み出します。人間を治療するリハビリテーションという場面だけではなく、業務運営上でもシステム、組織運営を考える上で「創発」「創発特性」の重要性を改めて考えさせられたテレビドラマでありました。

Perfetti教授の教えである「何からでも学び治療に結び付けていく」ということをさらに理解することが出来ました。