佐藤 郁江(岡崎南病院)
失行症―「みること」「さわること」とのかかわりへ
中川 賀嗣著 高次脳機能研究 第29巻第2号 2006年
副題の「みること」「さわること」がきっかけで読んでみようと思った文献です。
この中で行為・動作を3つの側面に分けています。
①何を行うかの側面(動作の内容の選択)
②どのように行うかの側面(動作の駆動・抑制と身体間の調和)
③動作の正確さの側面(補正)
動作・行為をこの独立した3つの側面に区分し観察できると述べています。失行症という部分だけでなく、動作を観察するにあたってこれはとても大切なことに思われます。実際この3つに分けた中で③の部分においては非失行性障害として、体性感覚の入力系の障害、空間操作能力障害、出力系の障害と考えています。この文献自体が失行を、パントマイムの障害と道具使用の障害とで考えて理解しているのであって言語理解ができているかどうかといった分ける作業を行っているものであると感じました。この分ける作業は私たちが治療していく中で原因を突き止める作業と似ているところがあると考えられ、もう一度見直してみることでできている、できていないに対して観察を進めていくことができる手掛かりになると感じました。
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