2012年12月2日日曜日

Tom & Jerry

首藤 康聡(岡崎南病院)

この作品を皆さんもきっと一度は、いや何度も見たことがあるんじゃないでしょうか?

この作品は体が大きく凶暴だが、おっちょこちょいでどこか憎めない部分のあるネコのトムと、体は小さいが頭脳明晰で、追い掛けてくるトムをことも無げにさらりとかわすネズミのジェリーのドタバタを、ナンセンスとユーモアたっぷりに描いた作品ですが、最近、うちの子供が何度もDVDを見ては笑い転げています。もちろん大人の僕が見ても面白くいつも笑ってしまいます。

さて、このアニメの特徴は圧倒的に言葉が少ないという点ではないでしょうか?軽快なバックミュージックや効果音で盛り上げてはいますが、その大半が無言で表現されています。ところが日本語の吹き替え版になるとわかりやすくするためなのか、原作で2匹が話をしていないような場面でも日本語で2匹が話をしています。

さて、皆さんはどちらが面白いと思うでしょうか?実はこれを見ていた妻と僕は同じ意見でした。それは圧倒的に原作の方が面白いという意見でした。普通考えれば日本語であるためストーリーもわかりやすく、理解しやすいので面白いと感じると思いませんか?でも答えは違いました。それは一体なぜなんでしょうか?

もちろんこれには色々な理由があると思います。そのうちの一つが「わかりやすさ」にあると思います。原作では言葉が少ないため、コミカルな2匹の動きやそれを脚色するバックミュージックが絶妙なバランスで見事にマッチングしているのです。ここに日本語が必要以上に追加されることで、そのバランスを崩してしまい表現力が損なわれてしまったんではないでしょうか?

つまり情報が多すぎることでそのバランスを失ってしまったというわけです。最近はインターネットが当たり前の世の中で、情報に困ることはありません。しかし、情報に満たされてしまうと探索する事を忘れてしまいます。だって待っているだけで情報は寄せられますからね。情報は多い方が良い。そう思う事はあります。しかし、多すぎても良いとは限りません。

認知神経リハビリテーションは患者さんと相互作用しながら訓練が展開していきます。しかし、訓練を展開して行く中でついつい情報が多くなってしまうことはありませんか?そうすれば患者さんは能動的探索は行わなくなるかもしれません。

その他にも色々と考えるヒントを探すにはピッタリの物語だと思います。ただ、もう一つオススメする理由があります。いかがでしょう?忙しい日々の中で思いっきり笑う時間を作って見ませんか?きっと素敵な時間が過ごせるはずですよ。

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