2013年4月1日月曜日

症例は・・・

首藤 康聡(岡崎南病院)

症例は30歳代の男性です。

数年前より両下肢の疲労感を強く訴えるようになりました。特に右側が酷く、下腿後面がいつも「カチカチになってる感じがする」と訴えていましたが、触診では筋緊張に左右差は認められませんでした。

症例は幼少の頃より、両膝関節の痛みを頻回に訴え、高校生の頃に『半月板変形』と診断された事がありました。そのような背景もあり症例はこの両下肢の疲労感は膝関節の影響だと考えていたのです。

さて、本日症例は歩行時の左右の下肢を比較してみると右立脚中期から後期にかけて右側の下腿後面と足底前方に“グッ”と踏ん張るように力が入っている事に気がつきました。そしてもう一つ。この際の足関節の背屈が左側に比べ少ない事に気がつきました。これはどうやら下腿後面の筋緊張が影響しているという事はわかったので、左側のイメージを右側に移してそのイメージ通りに運動を行おうとしたのですがなかなかうまく行きませんでした。そこで他に違うところはないだろうかともう一度左右を比較してみました。すると立脚中期の中殿筋の収縮が弱い事に気がつき、そのイメージを同じように左側から右側へ移し、運動を行ってみることにしました。すると、グッと力が入ることなく背屈が増大し、スッと歩行ができるようになったのです。さらに腰部の使い方にも左右差があることに気がついたのです。

もちろん、まだまだ仮説の段階ですし、細かい内容は省かせてもらいますが症例が両下肢の疲労の原因は膝だと思っていたのに実は違う可能性が出てきたのです。もちろん一番の問題点は膝だとは思いますが、疲労の問題が一時的な問題ではなく二時的な問題である可能性が出てきたことに症例は驚いています。

さて、ここまで読まれた皆さんはこう感じているかもしれませんね。そう、これのどこが『臨床のヒント』なんだと。ただの症例報告じゃないかとお怒りかもしれません。実はこの症例は僕自身なんです。僕自身の身体を省みることで次の臨床に活かせる内容だったので、これは『臨床のヒント』なんです。

いかがでしょうか?皆さんも自分の身体を参考にして、『臨床のヒント』を見つけてみてはいかがですか?以外に面白い発見があるかもしれませんよ。

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