2014年8月1日金曜日

たまにはぼんやりと

首藤 康聡(岡崎南病院)

先日、夏休みを利用して九州の実家に帰ってきましたが、やはり地元は良いものですね。僕の地元は海のそばで子どもの頃から海辺で良く遊んでいました。さてその海を妻と子どもが浜辺で遊んでいたわずかな時間ぼんやりと眺めていたのですが、なんだかすっきりとした感じがしました。

さて、このぼんやりとする時間。実は非常に大切な時間なんです。このぼんやりとしている間にも脳は活動し、最近の研究では自己認識や記憶の想起、他者の心の推定などに関与するのではないかといわれています。実はこのようにぼんやりとしていても脳が勝手に仕事をしてくれているんですが、この様な活動はデフォルトモードネットワーク(Default Mode Network:DMN)と呼ばれています。

DMNはワシントン大学医学部のM・E・レイクル教授が2001年に発見した脳活動なんですが、これは複数の脳領域で構成されるネットワークで、脳内の様々な神経活動を同調させる働きがあると言われています。また実験では後部帯状回と前頭葉内側が活動したそうです。また最近の研究ではDMNの機能障害は認知症や鬱病、自閉症や統合失調症などの疾患に関与するのではないかと言われています。

認知神経リハビリテーションを学んでいくとどうしても脳を活性化させ、組織化する必要があると考えてしまいがちです。それは決して間違いではないと思います。しかし、DMNを考えると時にはぼんやりする時間がより脳の組織化を促すような気がしてなりません。

認知神経リハビリテーションは今、行為間比較という新たな課題に向かっていこうとしています。しかし、まだまだ考えなければ成らない基礎がある事を忘れてはいけないと思いますし、その基礎を整理して臨床応用していくためにはぼんやりする時間も必要ではないでしょうか。きっとこの時期は夏休みをとる方もいらっしゃると思います。いかがですか。今年の夏休みはちょっとぼんやりしてみませんか。

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