2016年3月3日木曜日

遂行機能障害

佐藤 郁江(岡崎南病院)

私の中で遂行機能障害と失行の違いが判らなくなっています。起こってくるメカニズムの違いはそれぞれ、前頭葉と頭頂葉の違いがあるのです。しかし、症状として現れるのは順番を間違えたり、行為が起こらなくなってしまったりと、臨床上での違いが私の中ではっきりと区別できていなかったように思います。そんな中で、注意と意欲の神経機構(日本高次機能学会教育・研究委員会編、新興医学出版社)の本の中で「外へ向かう注意の病理がいわゆる遂行機能障害であり、内へ向かう注意が再帰性意識の病理であって、これには、病態失認や、認知症における自己意識の障害を内在している」と書かれています。その外へ向かう注意を「支える神経基盤が、前頭連合野-頭頂連合野を中心とする遂行制御ネットワークである」となっているため失行と遂行機能障害は目に見える障害としては似てくるところもうなずけると思われます。しかし、治療するにあたっては問題が違うととられていかなければいけない点もあると思います。遂行機能障害は外へと向かう意識ができてこないために、開始の障害が特に目立ってくるのではと感じている。自分の中で整理できていない部分で、また皆さんと話しながら考えていきたいと思います。

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