2016年2月21日日曜日

診療報酬改正の時期に

尾﨑 正典(尾張温泉かにえ病院)

平成28年度診療報酬改正についての答申書が公開されました。リハビリに関しては、維持期のリハビリ・回復期のFIM・廃用・摂食嚥下・運動器リハなどの改正点が挙げられています。維持期リハの外来患者を通所リハ・デイサービスなど介護保険を利用したリハサービスへの移行を、どのようにしていくかを検討されている方も多いと思います。

先日、当院とは業務上関わりはないケアマネージャーと話をする機会がありました。

ケアマネは感じていることを言われただけだと思いますが「病院でのリハを行ったとしても、家に帰れば環境が変わって、出来ていたことも出来なくなり、またゼロからやらないといけないのだから・・・・・」という発言があり、私の中で、とてもひっかかりました。

患者の退院後の生活を良く知るケアマネの発言はまさに、現在のリハの大きな問題点であると思います。環境が変わってしまうと患者は自宅の環境に適応できていないということが、まさに現実となっています。すべての患者がそういうわけではないと思いますが、いくら病院でリハを行いFIMの点数を上げたとしても、患者は退院後、様々な環境に適応しなければならないのに、できていないということを真摯に受け止めていかないといけないと感じました。そのケアマネの意見としては、「訪問リハサービスを使い、実際の生活の中で日常生活の出来ないことを訓練するのが重要ではないのか」と言われました。他職種の視点は、重要なポイントやリハビリの課題がどこなのかを良くご存じだと思いました。

様々な環境に適応できるような身体に回復出来るように、どのように治療していき、在宅復帰後も、ケアマネの発言のような状況にならないようにしていかなければと改めて感じました。

今回の改正では回復期においては、FIMの点数という指標でリハの単位数が制限されます。結果が出ていないところには厳しく、病院の収益にも大きく関わってきます。

新たな問題点も多々発生していく予感がしますが、「どのような環境であっても適応し、生活できるような身体をセラピストは回復させていかなければならない」ということを忘れず、日々治療を行っていかなければと思います。

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