2011年10月1日土曜日

自己主体感における自己行為の予測と結果の関係

首藤 康聡(岡崎南病院)

日本パーソナリティー心理学会 2007 第16巻 第1号
「自己主体感における自己行為の予測と結果の関係」
-行為主判別に対する学習課題を用いた検討-
浅井 智久1)  丹野 義彦1)   
1) 東京大学総合文化研究科

ちょっと自己主体感について気になっていたので調べていたらこの論文を見つけました。この自己主体感は運動の最中は言うまでもなく、運動が出現する以前にも必要となってくると考えられます。この自己主体感に問題が生じている患者に遭遇する事は少なくありません。それは様々な患者さんの記述から気付く事ができるんですが、となるとこの自己主体感の改善をしていかなければ、患者さんの運動の回復は行えません。

自己主体感には「行為主判別」が必要でそれには「予測」と「実際の結果」が必要となってきます。これはフィードフォワードモデル理論によって説明されているのですが、今までの研究では「予測」に焦点を当てているものが多く、「実際の結果」に焦点を当てているものは見受けられませんでした。そういった背景から筆者はこの研究を行おうとしたようです。詳細は実際に論文を読んでみて下さい。

今回の研究結果により「行為主判別」には「結果の予測」と「実際の結果」が必要であることが示されています。また、文中に「・・・異常な自己主体感であっても、学習によって正常な方向へと変えることが出来るかもしれない。」と述べているようにこの研究結果は異常な自己主体感を訴える統合失調症の患者の治療に有効である可能性を示唆しています。しかし、異常な自己主体感を訴える患者は何も統合失調症の患者だけではありません。前述したように我々が対象としている患者にもその症状は出現している場合があります。となると、この論文は我々のリハビリテーションにも応用可能ではないでしょうか?

またこの結果はAnkhinのモデルの正当性を示唆すようにも思えます。認知神経リハビリテーションのコースでもよく用いられるこのモデルですが、関連付けられるような学習過程についてのモデルはいくつもあるんですがしっかりと根拠を述べた説明をあまり聞いた記憶がありません。(ひょっとしたら僕が知らないだけなのかもしれませんが・・・)だけど、このような論文はあくまでモデルであった理論を根拠のあるものに変えて行くものだと思います。このような論文を読んでいくことがリハビリテーションの科学性を高めて行くかもしれませんね。

3 件のコメント:

若月勇輝 さんのコメント...

首藤先生

論文読みました。私には難解でした。

なんとなく言いたいことはわかりますが、実験方法のイメージができなかったり、データから何も感じ取れなかったりと、自分の勉強不足を実感します。

私もリハビリテーションの科学性を考えることがあります。このような論文を読むだけでなく、確実な知識にするために、このような実験をしていく必要があると感じています。そうすれば、私が理解できなかったことも少しはわかるのではないかと思います。まだまだ、勉強することが多く、そこまで達していないのが現状ですが、少しづつ、そこを目指して行きたいと思いました。

岡崎東病院 若月勇輝

首藤康聡 さんのコメント...

若月先生

コメントありがとうございます。
正直僕自身もまだ理解しきれていない部分があります。
ですが、このような論文に目を向けて行くことで少しづつ自分の
理解力が伸びると思っています。

勉強不足を痛感するっていいことですよね。
そこから頑張れますもんね。
お互いに頑張っていきましょう。

首藤 康聡 さんのコメント...

若月先生

コメントありがとうございます。
実は僕自身も同じなんです・・・

実験のイメージは出来ていませんし、データから何が読み取れるのかといった事は不十分です。

ただ、このような論文に少しづつでも触れていくことで、ちょっとは理解できてくると思っています。もちろん、研究や統計学の勉強をしながらですが・・・

一緒にこれからも勉強していきましょう。
また、何かありましたらご意見等をお寄せ下さい。

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