2016年12月2日金曜日

宇宙飛行士 大西卓哉氏より学ぶ

井内 勲(岡崎共立病院)

10月30日に日本人11人目の宇宙飛行士として国際宇宙ステーションから帰還した大西卓哉氏について、11月26日の中日新聞で「地球人に戻らなきゃ」の見出しと宇宙航空研究開発機構(JAXA)施設でバランスクッションの上で片足立ちにて4キロのボールでキャッチボールをしているトレーニングの写真と一緒に現状が少し紹介されていた。そこでは「飛行前の九十パーセントぐらいの状態に戻ってきた」と一か月足らずでのリハビリでの回復ぶりもあった。

思い返せば帰還された直後の大西氏の映像は約4か月の宇宙滞在からの帰還であり当然ながら立つことも出来ず、持っている小さなタイマーでさえ重いと重力下の地上の感想を述べていた。

筋力低下は無動・不動により骨格筋は、1週間で10~15%筋力が低下、高齢者ではそれが倍になる。また、筋力は最大筋力の20~30%程度の筋収縮をおこなう事で維持され、30%以上の筋収縮で筋力は増加、20%以下で低下してゆくと報告があり、筋力強化(骨格筋の大きさの変化を目的とした増強でなく)の効果として今回の大西氏の回復はかなり著しい成果が想像される。

そしてNHKのNEWS WEB では先の中日新聞のコメントに加えて「地球に帰還した直後は、脳が重力を忘れていて、普通に歩くことすら難しい状況だった。リハビリを行うことで、今は90%ぐらいまで回復しているが、重力に再び慣れる難しさを感じている」とリハビリ後コメントを述べていたようで、脳が重力を思い出す事の重要さが伺えた。

日本人飛行士のリハビリはこれまで米航空宇宙局(NASA)が担当していたが、大西氏からはJAXAが主導するようで日本でも専門の人材がそろってきたとあった。喜ばしく感じられたと同時に、リハビリテーションを担う我々は多くの分野から多くの視点で学びを広げる必要も感じた。

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